児童思春期のメンタルヘルスについて専門家に聞きました

7月31日の大阪中之島ロータリークラブは大阪精神医療センターで模擬縁日を行い、ゲーム依存症のメンタルヘルスを試みました。その時に児童精神科医の森先生に対するインタビューを行いました。

                

1.近年の児童思春期のメンタルヘルスは昭和の頃とどのように変化していますか?

デジタル機器の席巻で遊びの幅が狭くなっていることは危惧しております。

発達障害を持った子供たちは、興味の幅が広がりにくく、切り替えが苦手で依存になりやすい性質を持っております。想像力が乏しく具体物のほうが得意なため、経験していない遊びには興味が向かず、目で見てわかるスマホゲームにかたよりがちです。家族形態の変化もあり、社会全体に余裕がなく、遊びの幅を広げられない家庭も増えています。以前だとわかりやすかったいじめ問題も、ラインやSNSでのネットいじめにかわってきて、より見えにくく巧妙になっています。

2.ゲーム行動症を放置しているとどのような状態になるのでしょうか?

2015年ごろより、子供の足の長さが短くなってきているというデータがあります。ゲームやネットの時間が増え、成長ホルモン分泌不十分が原因ではと考察されており、おそらく内部臓器にも何らか影響が出ていると推察されます。

脳内構造や、神経回路も優位な変化があるのはご存じのとおりです。

ゲーム依存症自体は、進学や就職などのライフイベントで、他にやりたいことが見つかるとうまく抜けられる子もいます。

ゲーム依存のみを標的にするのは効果的でなく、背景の生きづらさ(発達障害や虐待、家庭環境など)を理解し、ゲーム以外の楽しみを増やすことが重要とされています。この点が一番難しいです!

3.精神科の医師でないわれわれができる支援は何か?

クラブの皆様のような素晴らしい大人とかかわること自体が子供のロールモデルを増やします。また今回の夏祭りのように、本物を経験させていただけるのも素晴らしい機会です。

・クリスマスなどにお菓子の靴などを配っていただいたり、寸劇やマジックショーなど、経験を増やすもの

・病棟で皆が使うおもちゃや漫画(びっくりするほど壊れます!)などのご寄付は非常にありがたいです。

クリスマスは、以前は病院から小さなお菓子靴を配れましたが、予算の関係でできなくなっております。

病棟で障害と向き合う子供たちにとって、季節のイベントや遊具、プレゼントはそれ自体治療的な価値がありますので、今回のマジシャンのショーは貴重な経験でした。

以下は夏祭りに参加して下さった大阪精神医療センターのスタッフのご感想です。

・子どものロールモデルになれる良い大人に触れる機会を増やしていただけた(児童精神科医)過酷な家庭環境で、まともな大人とかかわっていない子供もたくさんいます。

  自分の力で事業を起こされ、その利益を社会に還元されるクラブの皆様と触れ合うこと自体が子供たちの貴重な経験になります。

・およばれして少しフォーマルな中で楽しむという経験が、病棟の中で生きている子供たちの経験の幅を広げてくれた(看護師)

・たどたどしくはありますが、マジックに拍手をしたり、お礼を言ったりと普段見られない姿が見られた(看護師)

・子供は大喜びで、初めてもらうたくさんのお土産に大興奮していた。大切にされる経験になったと思う(看護師)

などなど、感謝の気持ちでいっぱいです。

子どもが感じた気持ちについては、本日、お手紙を書くと申しておりますので、直接伝えさせていただきます。

書字が難しかったり、記憶が続かない子供もいるので、どこまでできるかわかりませんが、気持ちを受け取っていただけると幸いです。

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